テレビで話題の希少糖「アルロース」は安全ですか?
- 2023/6/29
最近、希少糖アルロースがテレビで特集されたらしく、「夢の太らない糖アルロース!しかも太らないどころか、摂取すると痩せる!」という感じで、視聴者を釘付けにしたらしいです。
これは、2023/6/20(火)に日テレの番組「カズレーザーと学ぶ。」(”この夏美しくなる最新研究5連発”)で放送されたようで、Tverにアーカイブが残ってましたので、早速視聴しました。
「なるほどなぁ、これはみんな食らいつくよな~。」というのが私の感想ですが、実は、多くのフォロワーさんから、この「アルロースってどうなんですか?実際のところ安全ですか?」という質問をいただきましたので、今日はこれについてまとめますね。
話が長くなりそうなので、まずは、結論からいきましょう。
【アルロースの結論】※エビデンスをもとにしています。
・希少糖アルロースはほぼゼロカロリーで、もともとフルーツなどに微量に含まれる。(※人工甘味料ではない)
・砂糖の約70%の甘みがある。
・血糖上昇の抑制効果がある。
・糖質の吸収を阻害し、デンプンの分解も抑える働きがある。
・脂肪肝の抑制効果がある。(脂肪燃焼作用)
・インスリン分泌を刺激する。(良くも悪くも?)
・GLP-1分泌を刺激するためダイエット効果やインスリン抵抗性の改善などに期待できる。
・(副作用)大腸炎を悪化させたという報告がある。(※動物実験)
・(副作用)運動誘発性の筋細胞ダメージを悪化させたという報告がある。(※細胞培養での試験)
ということは、(今のところ)健常者には安全に使える甘味料で、確かに健康効果が期待できます。
しかし、動物実験によれば、すでに腸に重度の炎症がある場合は、避けたほうがいいかもしれません。
ただし、アルロースの長期的な摂取が人に対してどこまで「副作用」があるかは、今後の研究を待つしかありません。
(短期的に健康効果があっても、長期的摂取では副作用がみられる、という話はよくありますので。)
【アルロースの基礎知識】
・希少糖とは香川大学の何森(いずもり)名誉教授の造語。(香川大学は希少糖の研究に力を入れている)
・希少糖とは、自然界にある微量の単糖(またはその誘導体)のこと。
・希少糖には、アルロース以外に、キシリトール、アラビノース、アロースなどがある。
・希少糖アルロースの正式名称はD-アルロースまたはD-プシコースである。
・自然界ではズイナの葉に数%程度含まれ、レーズンやイチジクなどのフルーツにも微量に含まれる。
・市販のものはフルクトースを原料にし、酵素反応(または加熱)させて製造している。
【アルロースの応用知識】
・摂取したアルロースのうち約70~80%が小腸で吸収され、24時間以内に99%以上が尿で排泄される。
・吸収されなかった20~30%は、腸内細菌でもほとんど分解されず、便中に排泄される。
・血液脳関門を通過できない。
【アルロースの研究報告】
・2型糖尿病患者の食事に希少糖アルロースを追加すると、食後血糖値が低下した。
(Nutrients 2023, 15(12), 2802)
・耐糖能が低下している被験者にアルロース5gを摂取してもらったところ、食後血糖値が低下した。
(Biosci Biotechnol Biochem . 2010;74(3):510-9)
・韓国の成人121人の試験では、アルロースの摂取により、体脂肪率が大幅に減少した。
など、ほか多数。
以上がまとめになります。
テレビで「これは良い」といわれるものは、たいてい悪いものが多かったりするのですが、この希少糖アルロースは(今のところ)安全性が高く、健康効果も期待できそうです。
ただし、いくつか副作用も報告されています(※エビデンスレベルは低い)ので、ご自身の体調を見ながら、試すのが良さそうです。
また、新しい情報が入りましたら、お伝えしますね。
アルロースの効果やダイエットや脂肪燃焼の効果や危険性については、以下の記事でも取り扱っています。
ぜひご覧ください。
では、また!