更年期はいつからいつまで?どんな症状?更年期に備える食事を解説!

 

一般的に、ネガティブにとられがちな更年期。そんな更年期を、美味しいご飯を楽しみながら、穏やかに過ごせるとしたら素敵だと思いませんか?

実は、更年期の症状には、「栄養」「睡眠」「運動」「飲酒」「喫煙」などが、大きな影響を与えていることが明らかになっています

更年期が近づいたら、まずは生活習慣を見直すことが重要です。

今回は、「つらい更年期症状をやわらげる食事」をメインテーマに、更年期の基礎知識や更年期の食事のポイントをご紹介します。

これから更年期を迎える方も、いま更年期症状に悩んでいる方も是非最後までご覧ください。

ホルモンバランスの乱れから起こる更年期障害

「更年期」は、年齢にともなう卵巣機能の低下により、女性ホルモンの分泌量が急激に減少していく時期。全ての女性が通る道です。

2つの女性ホルモン「エストロゲン」と「プロゲステロン」が減少すると、脳はもっと女性ホルモンを増加するよう、司令を出します。

しかし、卵巣機能は低下しているため、命令通りに女性ホルモンが分泌されません。そのため、脳と体の連携が取れず、自律神経が乱れます。

また、エストロゲンは大きくゆらぎながら減少していく特徴があります。それによりホルモンバランスが崩れ、心身の不調に波が生じ、よりつらい状態をもたらすのです。

このときに起こるホットフラッシュなどの症状が、いわゆる「更年期症状」です。そして、この更年期症状が日常生活に支障をきたす状態のことを、「更年期障害」と呼びます

更年期障害は病態なので、病院で治療が必要です。更年期障害まで症状がすすむ前に、食事や生活習慣を整えることで少しでも快適な日々を過ごしましょう。

更年期はいつから?更年期が起こる時期

女性の更年期は、おおよそ閉経前5年から閉経後5年まで、女性ホルモンの急激な減少が始まる時期に当たります。平均的な閉経年齢が50歳前後なので、一般的には45歳から55歳くらいの間が更年期にあたります。

この年代は、仕事や子育て、親の介護などで忙しく、生活習慣が乱れやすい時期でもあります。更年期症状を予防するためにも、健康的な生活を心がけましょう。

代表的な更年期障害の症状

血管運動神経症状 ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ、発汗など)冷えなど
精神症状 イライラ、抑うつ、不安、不眠、無気力など
関節症状 腰痛、関節痛、肩こりなど
皮膚症状 乾燥、かゆみ、湿疹など
その他の身体症状 めまい、耳鳴り、頭痛、動悸、息切れ、疲労感など

更年期にみられる「ホルモンの変動」や「心身の不調」には個人差があります。代表的な症状を少しくわしくご説明します。

ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ・発汗)

ホットフラッシュは、更年期症状の中でも特に多くの女性を悩ませる症状の一つです。急に顔が熱くなり、同時に汗が止まらないという症状などが見られます。

めまい

更年期の女性の中には、自律神経の乱れからめまいの症状をうったえる方もいます。症状がひどい場合は、かかりつけの病院や耳鼻咽喉科などを受診し、診断を仰ぐようにしましょう。

イライラ・うつ

女性ホルモンのうち、プロゲステロンには心を落ち着かせる効果があります。そのため、女性ホルモンが減少する更年期には、イライラしたりうつ症状が出たりするケースがあります。

その他

骨粗しょう症

エストロゲンは、骨の生成にも関わります。エストロゲンの低下で骨粗しょう症のリスクも高まります。

​​高脂血症

エストロゲンが減少すると、動脈硬化が進みやすくなることがわかってきています。疫学調査では、閉経が早いと心臓病や脳卒中は約2倍に増加するとも言われています。

更年期に食事で備える!オススメ食材

味噌・納豆・豆乳ヨーグルトなど大豆の発酵食品

女性ホルモンの分泌が不安定になると現れる「更年期症状」。これに対処するためには、大豆食品、なかでも大豆の発酵食品を摂取することがポイントです。

大豆に含まれるイソフラボンには、エストロゲンの様な作用があり、さまざまな更年期症状の緩和や骨密度低下の防止などに役立ちます。

食事で改善が見られない場合は、大豆由来のエクオールのサプリメントを検討することもひとつの方法です。しかし、まずは食事の工夫から始めるのが良いでしょう。

イソフラボンを効率的に摂取するなら、大豆を「みそ・納豆・豆乳ヨーグルト」などの発酵食品のかたちでとるのがおすすめです。大豆の発酵過程で、イソフラボンと糖が分離するので、体内での吸収が良くなります。

発酵食品には、腸を整える乳酸菌が豊富に含まれているので、さまざまな慢性疾患の予防効果も期待できます。

味噌玉レシピ

味噌玉をまとめて作っておけば、忙しい朝でも、お湯を注ぐだけでおいしいお味噌汁が飲めます。

材料(1杯分)

ゴーヤ

味噌・・・15g
だし顆粒・・・1.3 g( かつお節粉末なら0.5g)
乾燥野菜または乾燥わかめ・・・少し

作り方

  1. すべての材料をまぜる。
  2. 1杯分の量を丸めてラップでつつむ。
  3. 冷凍室に入れる。
  4. 食べるときに、冷凍庫から取り出す。
  5. ラップをはがした味噌玉をお椀に入れて熱湯を注ぐ。

オメガ3(魚・えごま油など)

オメガ3は、鮭などの脂がのった魚やえごま油に多く含まれており、ホットフラッシュやうつ症状を軽減させたという報告があります。

オススメの食べ方

えごま油は加熱に弱いため、冷たい料理にかけて食べることで、栄養を壊さずに摂取できます。

えごま油をそのまま納豆や冷奴にちょいかけしてお召し上がりください。おいしく簡単なので、おすすめです。

山芋(長芋)

山芋には、ジオスゲニンという成分が豊富に入っています。ジオスゲニンは、DHEAの前駆体(材料となるもの)です。

DHEAは体内でエストロゲンに変換され、女性ホルモンのバランスを整え、不足するホルモンの代わりをしてくれることがわかっています。ホットフラッシュを抑えてくれる働きもあるので、積極的に食べましょう。

ブロッコリー

ブロッコリーには、更年期症状の症状を緩和する可能性がある「スルフォラファン」が含まれています。

オススメの食べ方
スルフォラファンは水溶性の栄養素なので、蒸したりレンジで加熱したりすることで栄養が茹で汁に溶けて逃げない調理法が向いています。

スープや蒸し料理にすると、栄養を丸ごと摂れるのでおすすめです。

鶏胸肉

鶏胸肉に含まれる「イミダペプチド」には、ホットフラッシュを抑える働きがあります。イミダペプチドには疲労回復の効果もあり、さらに、タンパク質がたっぷりなのでおすすめの食材です。

生姜

更年期の女性には、血行不良の症状がよく見られます。生姜は、血の巡りを良くする効果があり、体の冷えに有効な食材として知られています。

ビタミンD

更年期は女性ホルモンの減少により骨が弱くなります。この時期には、骨を強化するためにビタミンDを摂ることが重要です。さらに、ビタミンDにはうつ症状を緩和する効果もあるとされています。

鮭は、ビタミンDが豊富に含まれている食材の一つです。同時に、マグネシウムも重要な栄養素です。ビタミンDとマグネシウムを組み合わせて摂ることで、相乗効果が期待できます。

マグネシウムは、豆やナッツ、緑色の野菜や海藻などに多く含まれています。これらを組み合わせて摂取することで、ビタミンDの活性化を促進し、骨の健康をより効果的にサポートすることができます。

サプリを活用

食事で症状が改善しない場合には、サプリメントを活用するのもひとつの方法です。偏った栄養素を摂り過ぎないためにも、サプリメントを利用する場合は、まず主治医に相談してみましょう。

症状が深刻な場合には、「更年期障害」として専門的な治療が必要な場合もあります。標準治療では、ホルモン補充療法などがおこなわれます。

ただし、更年期症状への対策は、正しい生活習慣、とくに食事の工夫が重要です。さまざまな更年期症状を和らげるイソフラボンなどを、積極的に食事に取り入れ、更年期障害を防ぎましょう。

 

WRITER

吉冨 信長(よしとみのぶなが)

1977年生まれ (株)コミディア代表取締役 栄養カウンセラー、分子栄養学セミナー講師、日本脂質栄養学会会員、日本微量元素学会会員

2000年東京理科大学卒業後、SE業界へ。
SE業界を引退後、2007年青果業界へ転職し、2013年から食と栄養に関する健康情報をSNS等で日々発信し、講演会やセミナーではいつも満員となる人気講師に。

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