アルロースの効果とは?ダイエットや脂肪燃焼の効果や危険性について
- 2023/8/27
最近、話題に上がることが増えてきた「アルロース」。
アルロースは香川大学の最新研究によりダイエット効果が証明済みですが、今も研究が続けられている新しい栄養素です。
現時点でわかっている効果や危険性、他の甘味料との比較をわかりやすくご紹介します。
希少糖「アルロース」とは?
アルロースは、もともとドライいちじくやレーズンなどに含まれる天然由来の甘味料で、人工甘味料ではありません。
アルロースは自然界に微量にしか存在しないため、食品からは摂取しづらい甘味料です。アルロースのように自然界に微量にしか存在しない糖を「希少糖」と呼びます。
希少糖の名付け親、何森名誉教授が所属する香川大学を中心に、アルロースの研究が進められています。
アルロースは、ダイエットや脂肪燃焼の効果も期待されています。ゼロカロリーで安全性が高いこともあり、健康分野で非常に注目されてる甘味料です。
アルロースの成分
アルロースは、炭水化物の構成する成分のひとつ「単糖」です。
同じ単糖の「ぶどう糖」や「果糖」と構造が似ているので、甘みを感じるものの、消化・吸収されずに体外に排泄される性質があります。
これがアルロースが「ゼロカロリーの甘味料」としてダイエットに効果的と言われる理由の一つです。ほぼゼロカロリーで、砂糖の70%の甘味があるアルロースは、ダイエットに適した甘味料と言えるでしょう。
アルロースは自然界には極微量にしか存在していないため、市販のアルロース製品は「フルクトース(果糖)」を原材料にして、酵素反応や加熱による化学反応によって生成されます。
※アルロースの正式名称は「D-アルロース」といいます。「D-プシコース」や「プシコース」とも表記され、全て同じ成分です。
アルロースの効果
では実際、アルロースは「ダイエット」に効果はあるのでしょうか?
実はすでにいくつかの臨床試験などで、食後高血糖の抑制、内臓脂肪の抑制などの機能が報告されています。つまり「ダイエット効果がある」ということです!
1.脂肪を燃焼する効果
アルロースに、ダイエットに直結する「脂肪燃焼」の効果があることが、複数の研究により報告されています。
糖質中の8%をアルロースに置き換えた動物実験では、体重の減少と内臓脂肪の減少が確認されました。さらに、動物実験と人による実験でも、アルロースには脂肪肝の改善効果があることもわかってきています。
「肥満」や「肥満に関係する病気」の予防・改善に役立つアルロース。今後さらなる研究が期待されます。
参考文献:
Youngji Han, Eun-Young Kwon, Mi Kyeong Yu, Seon Jeong Lee, Hye-Jin Kim, Seong-Bo Kim, Yang Hee Kim, and Myung-Sook Choi. (2018) “A Preliminary Study for Evaluating the Dose-Dependent Effect of d-Allulose for Fat Mass Reduction in Adult Humans: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial” Nutrients
https://www.mdpi.com/2072-6643/10/2/160
Tomonori Kimura M.S. a, Akane Kanasaki M.S. a, Noriko Hayashi M.S. a, Takako Yamada M.S. a, Tetsuo Iida Ph.D. a, Yasuo Nagata Ph.D. b, Kazuhiro Okuma Ph.D. (2017) ”d-Allulose enhances postprandial fat oxidation in healthy humans” Nutrition
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0899900717301181
Kouichi Itoh, Shodo Mizuno, Sayuri Hama, Wataru Oshima, Miku Kawamata, Akram Hossain , Yasuhiro Ishihara, Masaaki Tokuda. (2015) “Beneficial Effects of Supplementation of the Rare Sugar “D-allulose” Against Hepatic Steatosis and Severe Obesity in Lep(ob)/Lep(ob) Mice” J Food Sci
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26012374/
Misuzu Tanaka, Akane Kanasaki, Noriko Hayashi, Tetsuo Iida, Koji Murao. (2020) ”Safety and efficacy of a 48-week long-term ingestion of D-allulose in subjects with high LDL cholesterol levels” Fundamental Toxicological Sciences
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fts/7/1/7_15/_article/-char/ja/
2.血糖値の上昇を抑制する効果
「血糖値とダイエットに、どう関係があるの?」と疑問に思った方のために、ダイエットと血糖値の関係を簡単に説明します。
血糖値が上がると、体内で使われるエネルギーを調整するためのホルモン「インスリン」が働きにくくなります。その結果、あまったエネルギーを脂肪として体内にためこんでしまいます。これが、甘いものを食べ過ぎる(血糖値が上がる)と太ると言われる原因です。
アルロースには「食後の血糖の上昇を抑制する効果」があることも臨床試験で証明されています。*1
*1 Noriko Hayashi, Tetsuo Iida, Takako Yamada, Kazuhiro Okuma, Isao Takehara, Takashi Yamamoto, Koji Yamada, Masaaki Tokuda.(2010)”Study on the postprandial blood glucose suppression effect of D-psicose in borderline diabetes and the safety of long-term ingestion by normal human subjects”Biosci Biotechnol Biochem
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20208358/
参考文献:
Francesco Franchi, Dmitry M Yaranov, Fabiana Rollini, Andrea Rivas, Jose Rivas Rios, Latonya Been, Yuma Tani, Masaaki Tokuda, Tetsuo Iida, Noriko Hayashi, Dominick J Angiolillo, Arshag D Mooradian. (2021) “Effects of D-allulose on glucose tolerance and insulin response to a standard oral sucrose load: results of a prospective, randomized, crossover study” BMJ Open Diabetes Research & Care
https://drc.bmj.com/content/9/1/e001939
Kensaku Fukunaga, Takafumi Yoshimura, Hitomi Imachi,Toshihiro Kobayashi,
Toshihiro Kobayashi,Takanobu Saheki,Seisuke Sato,Nao Saheki,Wenyi Jiang and Koji Murao.(2023) “A Pilot Study on the Efficacy of a Diabetic Diet Containing the Rare Sugar D-Allulose in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus: A Prospective, Randomized, Single-Blind, Crossover Study” Nutrients
https://www.mdpi.com/2072-6643/15/12/2802
Tomoya Shintani, Takako Yamada, Noriko Hayashi, Tetsuo Iida, Yasuo Nagata, Nobuaki Ozaki, Yukiyasu Toyoda.(2017)”Rare Sugar Syrup Containing d-Allulose but Not High-Fructose Corn Syrup Maintains Glucose Tolerance and Insulin Sensitivity Partly via Hepatic Glucokinase Translocation in Wistar Rats”J Agric Food Chem.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28209058/
Yukie Natsume, Takako Yamada, Tetsuo Iida, Nobuaki Ozaki , Yang Gou, Yoshiharu Oshida , Teruhiko Koike.(2021)”Investigation of d-allulose effects on high-sucrose diet-induced insulin resistance via hyperinsulinemic-euglycemic clamps in rats”Heliyon
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2405844021021162
Akram Hossain, Fuminori Yamaguchi, Kayoko Hirose, Toru Matsunaga, Li Sui, Yuko Hirata , Chisato Noguchi , Ayako Katagi , Kazuyo Kamitori , Youyi Dong , Ikuko Tsukamoto , Masaaki Tokuda.(2015)”Rare sugar D-psicose prevents progression and development of diabetes in T2DM model Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty rats”Drug Des Devel Ther
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25632221/
アルロースの危険性・安全性について
人工甘味料「アスパルテーム」のように、当初は安全と言われていても、後々の研究で危険性が示されることもあります。
では、気になるアルロースの危険性・安全性はどうでしょうか。
アルロースは安全?
アルロースは、米国食品医薬品局(FDA)により「安全な食品」として認証されています。アルロースの安全性は、1990年以降使用され続けている同じくゼロカロリーの天然由来甘味料「エリスリトール」と同等です。
ただし、アルロースの安全性に関する長期的なデータはまだありません。また、ヒトを対象とした実験ではないものの、実験ではマウスの副作用が報告されています。
・大腸炎のマウスにアルロースを与えると大腸炎が悪化した
・細胞培養による試験でアルロースが筋細胞ダメージを悪化させた
アルロースの摂取は健康な人には問題がないものの、病気の方や体調の悪い方に関しては、長期の利用は慎重になったほうがいいのではないかと思います。
参考文献:
Xuejiao Zhanga, Ang Lia, Yuanyifei Wanga, Jin Wanga, Bowei Zhanga, Yan Zhanga, Jingmin Liua, Shuo Wang.(2023) “D-Psicose intake exacerbates dextran sulfate sodium-induced colitis in mice through alteration in the gut microbiota and dysfunction of mucosal barrier”Food Science and Human Wellness
https://www.sciopen.com/article/10.26599/FSHW.2022.9250046
Zhen-Jie Wei, Lu Sun, Yu-Lin Li, Jibran Sualeh Muhammad, Ying Wang, Qian-Wen Feng, Yan-Zhuo Zhang, Hidekuni Inadera, Zheng-Guo Cui, Cheng-Ai Wu.(2021)”Low‑calorie sweetener D‑psicose promotes hydrogen peroxide‑mediated apoptosis in C2C12 myogenic cells favoring skeletal muscle cell injury”Molecular Medicine Reports
https://www.spandidos-publications.com/10.3892/mmr.2021.12175
アルロースが含まれている身の回りの食品
アルロースは自然界に微量にしか存在しない希少糖ではありますが、実は、私達は知らないうちに日常的に摂取しています。
アルロースはフルクトース(果糖)を含む食品の加熱調理などによっても自然と生じるためです。
ただ、下記の表の通り、その量は極微量です。表中でアルクロースが最も多いウスターソースでも、1mg=0.001gなので100g中わずか0.13gしか含まれていません。
しかもウスターソースを100gもかけることはないので、現実的に食品から摂取するアルロースは、いい効果もわるい影響もない程度の量といえます。
菓子製品 | mg/100g | 調味料・飲料 | mg/100g |
カステラ
ようかん カステラ コーンスナック ちんすこう 黒飴 黒糖かりんとう チョコチップクッキー シリアル |
11.0
11.2 47.0 27.3 26.7 76.5 95.6 6.4 2.2 |
カラメルソース
黒砂糖 ミートソース デミグラスソース メープルシロップ ケチャップ ウスターソース コーラ コーヒー フルーツジュース トマトジュース |
83.0
71.1 15.8 16.3 57.9 39.8 130.6 38.3 0.5 21.5 2.4 |
料理 | mg/100g | 果物 | mg/100g |
醤油豆 さんまの蒲焼切り干し大根の煮物納豆 |
5.7
39.1 8.1 7.8 |
ドライいちじく
ドライキウイフルーツ レーズン 桃の缶詰 みかんの缶詰 さくらんぼの缶詰 |
29.6
9.4 38.7 1.5 8.4 2.0 |
出典 : Food Sci. Technol. Res., 12(2】137−143,2006 食品科学技術研究 さまざまな食品に含まれるプシコースの含有量とその起源
アルロースとラカントの違い
ラカントは正式には「ラカントS」というサラヤ株式会社が販売している甘味料の商品名であり、栄養成分の名称ではありません。
ラカントは、ウリ科の植物「羅漢果(ラカンカ)」とトウモロコシからつくられる天然由来の甘味料「エリスリトール」が原材料の自然派甘味料です。
アルローストとラカントがもつ効果の共通点は、以下の通りです。
・カロリーゼロ
・安全性の高い
・血糖値の上昇を抑制する
アルロースとラカントの効果はとても似ています。ただやはり原材料が異なる分、甘味・風味が違います。お好みに合わせてお楽しみください。
アルロースはどんなふうに摂取するといいの?
砂糖の代替品として使う
普段使用している砂糖を、アルロースにそのまま置き換えてみましょう。料理やお菓子づくりに、コーヒーなど飲み物に、砂糖と同じようにお使いください。
摂取量は多くて一日30gに収める
あるロースがダイエットや健康にいいとされていても、摂り過ぎはNGです。アルロースの摂取は多くても1日に30g以内、1回に5g以内に収めてください。
アルロース製品に明記された使用量を必ず確認し、用量を守りましょう。慣れるまではお腹がゆるくなることもあるので、はじめは少量から摂取して様子を見てみてください。
アルロースはダイエットの補助として利用する
「アルロースだけで痩せる」という考え方はよくありません。一つの食品で痩せるのではなく、色々な食材の全体バランスを良くして、健康的にシェイプアップしましょう。