『ビタミンCと尿酸と痛風』

ヒトがビタミンCを合成しなくなった理由には諸説ありますが、中でも、人間の体に尿酸がある程度残留することができたからという説があります。

尿酸と言えば、その値が多い場合、痛風の原因または相関関係があるとして、あまり良いイメージがありませんが、実は尿酸そのものは素晴らしい抗酸化作用のある物質なのです。

尿酸は体内の活性酸素を除去できる働きがあることがわかっています。実際に、血中で最も高濃度で存在しているのは、ビタミンEでもCでもなくこの尿酸であり、血清中の抗酸化物質全体のおよそ半分を占めています。

他の動物では通常この尿酸を分解する酵素が体内にあるため、血中には人間のように多く尿酸を持っていません。しかし、人間は進化の過程でこの酵素を失いました。これはビタミンC合成能力を失ったことと同様に重要な事でした。

なぜなら、尿酸はビタミンCよりもはるかに強力な抗酸化物質であり、一部の作用においてビタミンCの代用ともなるといわれているからです。

さて、尿酸値が高い人は痛風になりやすいためにプリン体の多い食事に気をつけるよう指導されます。しかし、食事からのプリン体由来の尿酸は全体の20%ほどに過ぎないため、大きくは影響しません。

多くが、アポトーシスによる体細胞由来のものです。この体細胞由来で出来た尿酸は血中のLDLコレステロールの酸化を抑制したり、低酸素状態を改善したり、先述した活性酸素を除去するために利用されているのです。

つまり血清の中に不具合が多くなるほど尿酸は増えます。また、腎臓機能が低下しても尿酸は増えやすいです。この増えすぎた尿酸は結晶化し、体の各部位のあらゆるところに移動します。

痛風を改善するには、このように食生活や生活習慣の見直しが重要となります。

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WRITER

吉冨 信長(よしとみのぶなが)

1977年生まれ (株)コミディア代表取締役 栄養カウンセラー、分子栄養学セミナー講師、日本脂質栄養学会会員、日本微量元素学会会員

2000年東京理科大学卒業後、SE業界へ。
SE業界を引退後、2007年青果業界へ転職し、2013年から食と栄養に関する健康情報をSNS等で日々発信し、講演会やセミナーではいつも満員となる人気講師に。

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