悪玉LDLを低下させる「アボカド」

アボカドといえば、「最も栄養価の高い果物」としてギネスブックに登録されているほど豊富な栄養素が含まれていることで有名です。

そんなアボカドが「悪玉LDLを減少させた」という研究データが2019年に報告されています。

研究についてお話しする前に、まず悪玉LDLについて簡単に説明します。

 

LDLコレステロールは悪玉?

LDLコレステロール=悪玉と言われていますが、実は「LDLコレステロール」が全て悪玉とは限りません。

LDL」とは、低密度リポタンパク質のことで、これにコレステロールや中性脂肪などが含まれています。そのため、厳密にはLDLそのものが悪玉ではないのです。

ちなみに、善玉と言われる「HDL」は、高密度リポタンパク質のことなので、LDLとHDLは、どちらも同じコレステロールタンパク質なのです。

 

 

真の悪玉コレステロール

それでは真の悪玉は何なのでしょうか。

真の悪玉コレステロールは、次の2つのことを指します。

sd-LDL(small dense LDL)…小型のLDLのこと。小さいLDLは各組織でLDLを受け入れる受容体に結合しづらいため、血中を滞在する時間が長くなり、動脈硬化の原因となる。

酸化LDL…LDLが酸化したもので、血管の中に沈着しやすく、動脈硬化の原因になる。

したがって、これら2つに注目しなければなりません。

アボカドが悪玉LDLを低下させた

それでは本題に戻りましょう。

米国ペンシルバニア州立大学による研究によると、1日に1個のアボカドを含む中程度の脂肪の食事は、肥満の成人の血漿に抗酸化物質を増加させることによって、悪玉LDLを減少させることができたそうです。J Nutr. 2019 Oct 14. pii: nxz231. doi: 10.1093/jn/nxz231

この研究では、21〜70歳の肥満で高LDL値の男女45人を対象に、ランダム化オーバー対照試験を5週間行いました。

①低脂肪グループ
②アボカドグループ(アボカド1個を含む中脂肪グループ)
③中脂肪グループ(アボカド1個相当のオレイン酸を含む)

以上の3つのグループに分け、酸化LDLの変化率を比べたところ、②アボカドグループの酸化LDL値は有意に減少し、血漿のルテイン(植物特有の抗酸化物質)濃度が増加しました。

 

 

アボカドは優秀!

アボカドは、最も残留農薬の少ない農産物としても有名です。

毎年行われているアメリカ農務省(USDA)による残留農薬試験を分析している環境団体EWGによると、様々な農産物の中でアボカドは最も残留農薬が少ないという結果が出ています。(https://www.ewg.org/foodnews/clean-fifteen.php)

 

さらに、アボカドによる血糖コントロール改善効果も期待ができます。

米国ロマリンダ大学の研究では、肥満26人を対象にしたアボカド食は、血中インスリンレベルが有意に37%低下したと発表されています。(Nutr J. 2013 Nov 27;12:155)

 

他にも、肝臓を元気にするグルタチオンが多く含まれており、これもとても優秀です。

 

 

悪玉LDLは薬で対処することもできますが、やはり食事でコントロールしていくのが理想的です。

栄養価も高く、血糖コントロール改善も期待できる素晴らしい食材をぜひ活用してみてくださいね。

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WRITER

吉冨 信長(よしとみのぶなが)

1977年生まれ (株)コミディア代表取締役 栄養カウンセラー、分子栄養学セミナー講師、日本脂質栄養学会会員、日本微量元素学会会員

2000年東京理科大学卒業後、SE業界へ。
SE業界を引退後、2007年青果業界へ転職し、2013年から食と栄養に関する健康情報をSNS等で日々発信し、講演会やセミナーではいつも満員となる人気講師に。

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